フリー・ハグズ

「フリー・ハグズ」は、街頭で見知らぬ人々とハグをすることにより、素晴らしい何か(愛や温もりや平和の心など)を生み出そうという活動です。2001年頃にアメリカのジェイソン・ハンターが始めた活動で、その後YouTubeに動画がアップロードされたことにより、世界中に広まりました。

フリー・ハグズの歴史

フリー・ハグズを始めたジェイソン・ハンターは、2001年に彼の母親を亡くしました。彼の母は、人を抱きしめることで「あなたはとっても大切な人」と伝えることが出来る素敵な人でした。彼は母が亡くなったことでそのことに気付き、多くの人に愛された母親の意思を継いで活動することに決めます。その活動こそがフリー・ハグズでした。ジェンソンは「私達の仕事が何であれ、私達にできる大切なことは、私たちが自ら歩み寄ることによって他者を助け、励ますことではないか」「親切で励みになる行動が、私達の日常に変化を与えてくれるだろう」と考えたのだそうです。そして彼はこのメッセージを多くの人に伝えようと、「フリー・ハグズ」と書かれたプレートを持ってマイアミの海岸を歩き始めました。これがフリー・ハグズの始まりでした。

YouTubeでの普及

フリー・ハグズの活動は、日本で有名になる2006年~2007年までに、アメリカではさまざまなメディアで取り上げられています。日本で有名になったきっかけは、2006年9月22日にYouTubeに投稿された「Free Hugs Campaign - Official Page」という動画がきっかけでした。この動画は、現在までに7400万回以上も再生されていて、2007年にはYouTubeインスピレーション部門でビデオアワードを受賞しています。この動画はオーストラリアのシドニーで収録されました。ビデオの中では、主人公「ホアン・マン」がFREE HUGと書かれた看板を掲げてハグを呼びかけながらピット・ストリート・モールを歩いていきます。最初は皆疑わしい目でマンを見ますが、快くハグを受け入れる人とハグを呼びかける人々が緩やかに増えていき、フリー・ハグズが普及していきます。ハグの仕方は三者三様で、優しく抱きしめる人、マンに飛びつくようにハグする人、大人数でマンを囲むようにハグする人などが映されています。動画の後半では、当地の守衛や警官が、彼らに向けてフリー・ハグズを止めるように通告します。マンの行動が普及しすぎたため、2500万ドル相当の賠償責任保険に加入する必要があると判断されたためでした。マンと仲間たちは、保険金なしでキャンペーン続行を許可してもらえるよう当局を説得するための嘆願書を作成しました。嘆願書には1万人分の署名が集まり、これを提出することで彼はフリー・ハグズを続ける許可を受けたのです。この動画がフリー・ハグズ普及のきっかけとなったため、多くの人がこの動画がフリー・ハグズの発祥だと勘違いする事態となっています。この動画にはたくさんの応援コメントや「感動した」「涙が出た」というような感想が寄せられています。コメント数は10万件を超えていて、チャンネル登録者数は2万3千人以上という人気動画となりました。

日本での普及

日本で初めてフリー・ハグズの活動が取り上げられたのは、2006年12月1日放送の朝日放送「探偵!ナイトスクープ」でした。「街で人はハグしてくれるのか?」というタイトルの調査依頼がオンエアされ、依頼者の青年が大阪の街頭に立ってフリー・ハグズを求めるシーンが流れました。このオンエアは多くの感動を呼び、依頼者の青年が同番組内の2007年アカデミー大賞最優秀主演男優賞を受賞しました。この放送がきっかけで、2006年の末から東京、京都、大阪などで徐々に活動が広まり、現在では多くの都市でフリー・ハグズをしている人がいます。その後メディアでも取り上げられる機会が多くなり、日本テレビ系「オジサンズ11」ではタレントの薬丸裕英がフリー・ハグズに参加しました。大阪では女優のさあながフリー・ハグズの活動を積極的に行っている人物として有名で、新聞や雑誌などにも紹介されています。九州地方のローカル番組「ドォーモ」では、視聴者からフリー・ハグズをしたい人を募集し、フリー・ハグズを行う姿を放送したところ、反響が大きく、後にシリーズ化もされています。

フリー・ハグズの目的

フリー・ハグズの目的は一つではありません。それは、フリー・ハグズを行う人々がそれぞれ違った考えを持って活動しているからです。それぞれが素晴らしい心を持って活動しているということは共通しているので、目的や考えが違うことは悪いことではないのだそうです。フリー・ハグズをしたときに感じるものは人それぞれ違います。それを「温もり」だとか「愛」だとかの一つの言葉にまとめたり、強要したりするのではなく、ハグした人・された人が自由にそれを感じ、想うのがフリー・ハグズなのだそうです。フリー・ハグズの目的は「ハグ」それ自体にあるのではなく、ハグすることによってお互いに心から素直に、笑顔になって、そしてそれぞれが自由に「愛」や「平和」や「癒し」や「人の温もり」など、言葉にできないたくさんの素晴らしい何かを感じることが大きな目的です。そして相手にそれを強要するのではなく、心で共有すること。言葉で確認しなくても相手の笑顔を見ればそれが伝わってくるのだそうです。

人の温もり

2007年頃に急速に流行ったフリー・ハグズの活動。その目的やメッセージのようなものには共感しますし、いい試みだと思います。東京都内でもよく「FREE HUG」の看板を掲げた若い人を見ました。最近ではあまり見かけなくなりましたが、その活動は細々とですが続いているようで、2011年には日本人の青年が韓国の街頭に立ち「Free Hug for Peace」と書いたプレートを掲げて活動する様子がYouTubeに投稿され、話題となりました。私も街中で彼らの活動を見たことがありますが、ハグする勇気は出ませんでした。やっぱりハグする文化がない日本人にはちょっと不向きな活動な気がします。それでも私が見ていた10分くらいの間に二人くらいはハグに応じていました。確かに抱きしめられると安心しますし、心が落ち着く気がします。フリー・ハグズ普及のきっかけとなった上記の動画では、おばあちゃんがハグに応じていますが、彼女は「今朝うちの猫が亡くなったのよ」といってハグしたのだそうです。大事な人を亡くしたときや、悲しいことがあったときなどは、確かにハグしてもらいたいという気持ちになると思います。そういうとき、近くに彼らが居てくれたら嬉しいですね。最近では全盛期の頃に比べるとほとんど彼らの姿を見ることはなくなりましたが、次に見かけたときにはハグにチャレンジしてみたいと思っています。

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